代表世話人挨拶
相澤 純
岩手医科大学医学部 医学教育学講座・麻酔学講座
皆さまを第19回麻酔科学サマーセミナーにご案内できますことを、心より嬉しく思っております。
新型コロナの第5類への移行は、一般の方にとっては「アフターコロナ」への第一歩という印象だったようですが、我々医療従事者にとっては「感染の再拡大につながるのでは?」との懸念も強く、今回のサマーセミナーでも懇親会などまだまだ「完全復活」をさせることはできませんでした。その中で、できるだけ有意義な時間を過ごしていただけるよう、企画いたしました。
今回のテーマは、「麻酔の学びをデザインする」とさせていただきました。サマーセミナーはもちろん、麻酔の集まりで「教育」をメインテーマに据えること自体、異色の試みかもしれません。しかし誰もが教育を受け、あるいは教育をおこなった経験があります。ご自分の経験を振り返りながら、ご参加いただけるものと思っております。
今回は、セミナー開始の前に神経ブロックのハンズオンセミナーを併催させていただくことができました。今回初めての試みで、平日の午後にどれくらいご参加いただけるのか不安でもありましたが、募集を開始しましたところ早々に定員となってしまいました。ご参加できなかった皆様には、大変申し訳なく思っております。次回以降もこの試みを継続させていただけるよう、計画させていただきます。
セミナー開始後最初のセッションは、私が担当致します。最先端のシミュレータを用いて、日本ではまだ誰も行っていないシミュレーションを実演しながら、同時に私達「インストラクショナルデザイナー」が研修をどのように設計しているのか、設計の裏側もご説明させていただきます。
それ以外のセッションも、何より一人の参加者として私自身が見てみたいセッションばかりです。そして、シンポジウム。自分が受けてきた、そして自分が行ってきた教育を、ご参加の皆さまと一緒にもう一度見つめ直してみたいと思います。
いろいろな意味で「異色」な今回の麻酔科学サマーセミナーが、皆様の記憶に長く残る集まりになりますよう、期待しております。
(2023.05.26 掲載)
(2022.11.04 掲載)
毎年沖縄で行われてきた麻酔科学サマーセミナーも、今回で19回目を迎えます。このセミナーの特徴は、通常の学会ではできないような面白い企画や、自由で開放的なディスカッションにあります。今回は、テーマを「麻酔の学びをデザインする」と設定致しました。
もともと私達は、ものごころがついた頃から誰かに何かを教えられ、また、誰かに何かを教えながら成長してきました。しかし、日々の中で当たり前のように行ってきた「教え」「学び」ではありますが、「科学的に効果がある教え方、学び方」について学ぶ機会は、実はあまりありません。そこで、今回は特別講演として日本におけるインストラクショナルデザインの第一人者である「鈴木克明先生」にご登壇いただくことといたしました。「インストラクショナルデザイン」とは、「教育活動の効果・効率・魅力を高めるための手法を集大成したモデルや研究活動、またはそれらを応用して学習支援環境を実現するプロセスのこと」です。もともと欧米にて、戦時下における新兵教育や武器生産の効率向上のために活用され、その後企業や学校での教育に応用され発展してきたもので、日本では2000年頃の e-Learning 普及とともに注目されるようになりました。インストラクションとは「教え授ける」ことではありますが、それは「教えたから、あとは学習者側の責任」ということではありません。最終的に学習者が学ぶことによって、初めて目的が達成されます。ですから、教育者側もそこまで意識してデザインを行う必要がありますし、それゆえ今回のテーマも、麻酔の「学び」のデザイン、なのです。多くの皆様に、日常で「使える」ヒントをご提供できればと思います。さらに、セミナー全体においても、「より効果的・効率的・魅力的に学ぶことができる仕組み」を意識して、「デザイン」してゆきたいと考えております。
その他、具体的なプログラムについては現在鋭意企画中でございますが、決まり次第こちらにて情報を提示いたします。
全国の麻酔科医、麻酔医療に関わるメディカルスタッフ、企業の皆様方の多数のご参加を、世話人一同、お待ちしております。